グリップの構造
ブレード部分をグリップに固定する方法ですが、ククリには伝統的には以下の三通りがあります。1.グリップの端に止め金具をつける方法
グリップのブレードとは反対側の端まで中子を通してグリップの端から金属の止め具で固定する方法。一番簡単で確実に固定できる方法です。
2.焼きカシメ法
グリップに中子より一回り小さい穴を掘って焼けた中子を押し込む方法。目には見えませんが、中子の先端はグリップの端から1~2cmのところまであります。
3.フルタング
中子自体がグリップの一部となるように大きく作り、目釘で固定する方法。当店の「アンナプルナ」などがそれにあたります。
上記3通りの方法にはそれぞれ長所短所があり、一概にどれがいいとは言えないところがあります。
1はあまり技術がいらない簡便な方法なのですが、止め具から水が入って中子の錆や木部の腐朽を招く恐れがあります。ブレード側からの浸水はヒルト(ブレードとグリップの境目の金属部分)が防いでくれますが、止め具からの浸水は如何ともしがたいのです。
2は技術が必要ですが、熱によって木部と中子が圧着するため腕があれば1と同様確実に固定できます。また止め具がないので浸水に強い利点があります。
3は非常に丈夫で耐久性が高いのですが、ククリが重くなり重心がややグリップ側に寄るという欠点があります。また金属部分がむき出しのため最も錆に弱くもあります。
当店のククリでは上記の2を採用しています。これは当店と契約している工房が高い技術を持っているからできることで、同じく警察や軍に納品している他の工房では簡便な作りの1を採用しているところも沢山あります。土産物屋などで見かけるククリの90%は上記1の方法で作られています。
またヒルトの素材ですが、当店のククリでは真鍮を採用しております。真鍮は銅と亜鉛の合金で、熱間鍛造性がよく展延性に優れるためグリップやブレードにぴったりと密着してグリップ内部に水が浸入することをを防ぐことができます。また銅イオンが木部の腐朽を抑える働きもあります。
土産物のククリに多用される白銅(銅とニッケルの合金)のヒルトは銀白色でカッコよいのですが、真鍮に比べるとカタめで密着性はイマイチです。
真鍮にもバネ鋼同様に色々とグレードがあり、インド製の安い真鍮は硬過ぎてダメだと当店の工房の職人は言います。ではどこの真鍮がいいのかと申しますと、意外にも日本の真鍮が最高だそうです。そうです、日本から輸出された真鍮が回りまわってヒルトという形になってまた日本へ逆輸入されているのです。
品質対決
|