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バネ鋼

シャクナゲに埋もれた村

2025年9月1日

  今回はベストシーズンのシャクナゲを見るためにヒマラヤ山中の村に行った時のお話です。
  ヒマラヤ山中にひっそりと咲くシャクナゲはとても美しいものです。その可憐さとヒマラヤに咲く希少性から赤いシャクナゲはネパールの国花に指定されており、政府によって保護されています。

  実は店長は何度もヒマラヤを訪れているにもかかわらずいつもシーズンを逃してしまい、目に入るのは散りかけの花ばかりで悔しい思いをしてきました。なので今回は時期と標高を計算してベストの時期にシャクナゲがわんさか咲いている場所に行ってみることにしたのです。
  目的地は首都カトマンズの北に位置するランタン国立公園の中にある標高3,350mのシンゴンパという村です。富士山で言えば8合目の高さですね。

  まずはバスに乗ってふもとの町ドゥンチェまで行きます。バスが出る時刻は決まっていますが、日本とは違い到着する時刻は未知数です。天候や道路状態、そして運に左右される要素が大きいからです。この日は天気は良いが運がありませんでした。
  出発して2時間後、エンストしたバスが道を塞いでいて片側交互通行になっている場所があり、ひどい渋滞になっていました。ようやくそこを通り過ぎて更に1時間後、今度は幅1.5車線しかない細い山道を大型トラックが完全に塞いでいて交互通行もできない状態になっています。
  このトラックはエンストでもなんでもありません。車体が重いのに加えて道が舗装されていないためタイヤが滑って坂道を登れないでいるのです。

  バスならいったん乗客を降ろして車体を軽くして通過するところです。しかしこのトラックはカラ荷なので降ろす荷物がありません。荷物が重いのではなく後ろの荷台そのものが重くて登れないでいるのです。ここは勢いをつけて突っ切るほかありません。それでダメならいよいよ店長が乗ったバスの乗客が降りて皆で押す羽目になります。ヒマラヤバス旅行あるあるですね。
  幸い今回は何度目かのチャレンジで登り坂を登り切ることができたので押さずに済みました。やれやれです。



 そんなこんなで時間を食ったためドゥンチェに着いたのは午後4時。カトマンズから8時間かかりました。まずはここで一泊します。

  翌朝7時に宿を出ました。なるべく早くシンゴンパに着いてシャクナゲを堪能したいからです。驚いたことに歩き始めてすぐに道はコンクリートの登山道になりました。以前訪れた時はこんなものはなく、普通の土や岩だらけの地面だったはずです。
  雨季になったらこのコンクリートが威力を発揮するのでしょうが、歩きやすくはあっても風情がなくなりました。整備し過ぎるのもいかがなものかという思いと、現地住民的には便利になって良かったという思いでちょっと複雑です。

  登り始めてから5時間、1,400mを登り切り、シンゴンパに着きました。カトマンズでは夜も扇風機をつけっぱなしにしないと眠れないくらい暑かったのに、シンゴンパは晴天の真昼にもかかわらず気温は体感12,3度といったところ。さすがは標高3,350m、フリースの上着を着ることにしました。

  さてお目当てのシャクナゲですが、とにかく凄い! まるでシャクナゲの林の中に埋もれるように村があります。以前の店長日記にも書きましたがシャクナゲは葉に毒があるので家畜はシャクナゲを食べません。そのため家畜をたくさん飼っている村の周辺はシャクナゲだけが食べ残されて、ほとんどシャクナゲの純林のようになるのです。
  ただ一つ残念だったのは、これでも満開の時期を少し過ぎてしまっていたことです。話を聞くと今年は例年より10日ほど早いとのこと。これも地球温暖化の影響なのかもしれません。



シャクナゲ

シャクナゲ
  


  シャクナゲは赤色だけではありません。白や黄色やピンクのシャクナゲもあります。意図したわけではないでしょうが、ここまでくれば立派な観光資源です。あとはここに来るために1,400m登ったりバスを降りて押す覚悟がある物好きがどれだけいるか、ですね。
  物好きな店長としては大満足でした。

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