道端の穴
2024年6月1日ある日、バクタプルの中心部から3kmほど離れた郊外の道を歩いておりました。この辺は丘陵部の中腹にあたり、住宅も街灯も無いがかろうじて舗装はされているような所です。道の左右には森が広がり、時折鳥の声が聞こえてきます。
すると何やら道端の斜面に穴が開いているではありませんか。気が付くとここだけではなく道に沿って点々と穴があります。大きさは直径60cm前後でそれほど深くはありません。これはいったい何の穴なのでしょう?
動物が多い土地柄なので最初はおそらく野犬か狸あたりが掘った穴かと思いました。しかし近づいてよく見ると道具を使って掘った痕跡があります。
となると掘ったのは人間という事になります。でも何のために掘ったのか?その答えは日本人の想像を遥かに超えたものでした。
『掘り出した赤土と牛の尿を混ぜて自宅の玄関から道路まで敷き詰める』が答えです。
穴を掘るのが目的ではありませんでした。赤土が欲しかったのです。赤土に牛の尿を混ぜたかったのです。そしてそれを敷き詰めたかったのです。はたして正解できた読者の方はいらっしゃるでしょうか?
しかしそうなると次の疑問がわきます。何のためにそんな物を敷き詰めるのか?ここはヒンドゥーの神々が住まうネパールです、そして牛は神聖な動物で赤は寺院に使われる色です、何か神秘的あるいは呪術的な目的があるような気がします。
しかしその答えも店長の想像を超えていました。
『こうするとよい虫除けになるので玄関から虫が入らなくなる』
が答えです。
全然神秘的じゃありません、実用目的でした。それにしてもあれだけの数の穴が開いているのです、これは特別な事ではなくごく普通にどこのご家庭でも行われている事だと推察されます。
ごく日常的な事なのにもかかわらずネパールに通い始めてウン十年の店長の予想ががかすりもしないのですから、まだまだネパールは奥が深いと感じました。
店長から一言
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