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バネ鋼

おいしいニジマス

2024年3月1日

  店長は魚が好きです。煮て良し、焼いて良し、蒸しても揚げても何をしてもおいしい食材です。でもネパールでは魚がそれほど食べられていません。
  年間の一人当たりの水産物消費量も日本の10分の1です。昔はさらに少なく、統計によると1982年時点で比べると一人当たりの消費量は日本のわずか100分の1だったようです。つまりこれでも10倍に爆増しているのです。
  店長の肌感覚でも一昔前に比べるとずいぶん魚が食べられるようになったと感じます。その辺の魚屋で見かける魚の種類や量も店長がネパールに通いだした頃より増えた気がします。

ニジマス

  まあ国土の全周が海に囲まれた日本と、まったく海がないヒマラヤの内陸国とで魚の消費量を比べること自体無理があるのかもしれません。
  しかし少ないとはいえ消費が伸びているということはネパール人が魚のおいしさを知っているということで、潜在的な需要は高いと思われます。それを見越してかどうかわかりませんが結構前から各国の協力による魚の養殖が始まっていたのです。
  漁業の支援ではなく養殖です。なにせ内陸国ですから漁港があるわけでもなく、大きな湖があるごく一部の地域を除いてはヒマラヤの雪解け水が流れる中小の河川で投網を投げるか釣りをするというのが伝統的な漁業だったため、伝統漁業にはこれ以上の発展性がないのです。

  さて養殖ですが、20世紀の半ばくらいにインドやイスラエルからネパールの南半分の暖かい地域向けにコイ科の魚が導入されて、今は養殖魚の定番商品として定着しています。上の写真で立派な鯉が売られていますが、多分それも養殖ものでしょう。
  しかし国土の北半分を占めるヒマラヤ山脈は寒冷で鯉には向きません。寒冷地に向くのはトラウト(マスの仲間)です。そこで日本のJICA(ジャイカ 国際協力機構)の支援で宮城県の冷たい水に住むニジマスが導入されて成功を納めています。
下の写真をご覧ください。

ニジマス

ニジマス

  これは店長も参加した宴会の様子です。注目すべきは下側の写真で、これがそのニジマスなのです。スパイシーな薄い衣を付けてサックリと揚げられており、大変美味でした。
  「日本が導入したのだからお前が一番大きいやつを食え」というよくわからない理屈で、店長には皿からはみ出すほどに大きいものよそわれました。ちなみに本当は左上にある赤いソースを付けて食べます。が、あまりに辛いので店長はそのまま頂きました。
  ネパールの飲み会に魚が出る事はあまりありませんが、これならメインディッシュにふさわしい逸品です。

  一方で値段もなかなかのもので、ニジマスはキロ当たり1,600円もします。日本でのニジマスの相場が1,000~1,200円/kgなので、なんと物価の安いネパールで日本より高いのです。
  ニジマス以外のほかの魚は肉類よりちょっぴり高いくらいで、おおよそ500円/kg程度ですからその3倍もする高級食材です。なるほど、その辺の魚屋では見かけなかった訳です。

  魚には肉に比べて良い点があります。DHAとか血液サラサラとかそういうのではなく、食のタブーが多くあるネパールにあって魚はほとんどの民族・カーストが口にできる食材なのです。
  なので今後益々消費が伸びる余地があります。ただ日本の魚のようにもう少し安くならないかなぁ、というのが店長の正直な感想です。

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