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バネ鋼

シェルパ族

2023年10月1日

  突然ですが皆さん、シェルパ族をご存知でしょうか? 山登りをする方ならシェルパという言葉を知らない人の方が少ないでしょう。シェルパと言えば既に山で荷物を運ぶ人の代名詞みたいになっているので、ネパールに50以上あると言われる民族の中でも日本での知名度ナンバーワンではないでしょうか。

  ちなみにネパール旅行をして首都カトマンズに行った場合、周りにいるネパール人の大部分はネワール族です。なので外国人にネパール人として認識されているのはおおむねネワールの人たちなのだと思います。
  一方シェルパ族の顔立ちや服装はネワールとはかなり違います。典型的なシェルパのおじさんは下の写真のような感じで、腹帯に挿したククリは絶対必須のアイテムです。ヒマラヤ山中には黒熊やオオカミが出ますので。

シェルパ

  この方は案内人付きじゃないと入域を許可されないエリアに店長が入った時に雇ったガイドで、ドルチェさんと言います。日本人だとしても違和感がないモンゴロイド系の顔立ちですね。
  ヒマラヤだとソルクーンブと言われるエベレスト周辺のエリアがシェルパ族の居住地です。カトマンズではあまり見かけませんがボウダナートやスワヤンプナートといったストゥーパの近くではよく似た顔の人たちに会えます。

  ぱっと見、普通のおじさんに見えますがその身体能力は驚異的です。彼らは大人ひとりを背負った状態で単独でヒマラヤの悪路の標高差1,000m以上の下りを楽々とこなすのです。店長なら大人ひとりを背負ったら平地を1,000m進むことも難しいでしょう。
  訓練とかそういうレベルではなく遺伝子レベルで違うとしか思えません。先祖にサイヤ人でもいるんじゃないかと疑いたくなります。
  店長でさえそう思うのですから各国の医者や科学者が目を付けないわけがありません。調べてみると面白いことが分かりました、結論から先に言うと冗談抜きで本当に遺伝子レベルで違っていたのです。

  アメリカではネイチャーやサイエンスと言った学術雑誌と肩を並べる権威ある学術誌に米国科学アカデミー紀要というのがあります。そこに掲載された論文「高地に定住するシェルパ:適応の新しいパターン」によると、シェルパが高地で高い身体能力を発揮する仕組みは常人とは違う事が示されています。
  ちょっと前の店長日記でも話題にしましたが、我々常人が高地に行くといわゆる高地順化という仕組みで体が薄い空気に順応して何とか動けるようになります。高地順化は意識しなくても勝手におこなわれ、その仕組みは、酸素を運ぶ赤血球を増やしたり、呼吸回数を増やしたり、心拍数を増やしたりといったものです。
  しかしシェルパは違います。なんと、赤血球は増えていないのにもかかわらず薄い空気から酸素をたくさん取り込んでいたのです。なぜそんなことが起きるのか? 別の論文によるとペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α遺伝子というものが通常の形から変異していて、そのせいで高地に適応できているという結果が出ています。何のことやらよくは分かりませんがとにかく遺伝子が違うのです。

  戦闘民族サイヤ人ならぬ、山岳民族シェルパ人! 髪が金色に逆立ったシェルパにはまだ会ったことがありませんが、もしいたら大人10人くらいかついでエベレストに登れそうですね。


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