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バネ鋼

生ものはダメ、スパイス大好き!

2022年5月1日

  日本人は寿司や刺身が大好きです。ですがネパールでは生魚を食べるという食習慣がありません。いや魚に限らず獣肉鶏肉も生では食べません。店長が見知った限りでは生で食べるのは果物と一部の野菜(玉ねぎやきゅうりなど)だけです。
  これはかなり徹底されていて、たとえそれが干し肉であっても加熱せずに食べることを嫌がります。

  以前の店長日記で牛乳の話をしましたが、ネパール人は牛乳や水牛の乳を日常的に飲むくせに日本のように冷えた牛乳をパックからコップに注いで飲むことはしません。必ず鍋に入れて加熱してから飲みます。鍋で温めた牛乳が冷えたときはもう一度温めなおすくらい徹底しています。

生もの
              牛乳屋さんの店先では沸かせた牛乳を飲ませてくれる

  ネパールでは宗教的な浄・不浄の観念が徹底しているため食べ物や飲み物に結構制限があるとはいえ、この「非加熱食品を食べない」という習慣は宗教的なものではなく元をたどれば医学的に十分な根拠がある衛生的な理由なのではないかと思うのです。
 
  ネパールを含む南アジア圏はおおむね亜熱帯の気候です(ただしヒマラヤは除く)。気温が高いと生ものや牛乳が腐りやすくなるのは当然で、更に温帯に比べると寄生虫も多いのです。
  ネパールは内陸国で海がないため魚といえば川魚しかありません。川魚には高確率で寄生虫が潜んでいます。日本ですら川魚の刺身や洗いは自然の河川から離して養殖した魚を使うなど細心の注意が必要なのに、まして亜熱帯の川や沼でとれた魚を生で食べるリスクは冒せません。

生もの
                魚屋さんの店先

  病原菌は大抵傷口や口から体内に入ってきます。いつどのように傷ができるか分からないので傷口からの侵入を防ぐのは難しいかもしれません。しかし口からなら食べ物に火を通すことでほぼ100%防ぐことができます。
  このようにして、健康に生きるための安全な方策として「とにかく火を通して食べる」という食習慣が確立したのでしょう。日本では食品の腐敗は冷蔵庫で防いでいますが、冷蔵庫の普及率が7%(2011年の国勢調査)であるネパールでは腐敗を防ぐ最も効果的な手段は加熱することなのです。

  一度習慣が確立してしまったらもはや安全だと言われてもあえて生で魚を食べる人はいません。生の魚なんてゲテモノ扱いです。
 日本で「虫を食べる」と言ったら嫌な顔をされることが多いと思います(地方によっては食べますが)。ネパールで「生魚をそのまま食べる」とか「冷えた牛乳の一気飲み」と言えば同じくらい嫌な顔をされます。友人ならきっと心配して「おなかを壊すからやめろ」と止めてくれるかもしれません。そのレベルです。
  当店のネパール人スタッフが日本に来た時も寿司は食べようとしませんでした。日本文化に理解があるネパール人でもこうなのです。そしてそれがネパールでは正解なのです。ネパールで生ものを食べてはいけません。ダメ、絶対、です。

  更に最近面白い論文を読みました。加熱とはまた別のネパールの食習慣が加熱と同じくらい効果的に感染症を防いでいるというのです、それはスパイスです。
  ネパールのご家庭で食事をすると、日本での1週間分のスパイス類を1食で摂取するくらいの勢いで多種多量なスパイスが使われています。ショウガや胡椒や唐辛子は当然として、シナモン、カルダモン、クローブ、フェンネル、クミンくらいまでは皆さんもご存じでしょうが、ジンブーやメティの種子のように日本ではほとんど見た事も無いようなローカルなスパイスもあります。

生もの

生もの
                         メティの種子、バターチキンカレーには欠かせません

  その論文によると一部のスパイスには駆虫効果があるそうなのです。つまり食事がそのまま虫下しになっているという事です。特にカルダモンやクミンの効果は強力で、逆にいかにも効きそうな唐辛子は無効であるとされています。 
  この効果はあくまで実験室で確認されたものであって、実際の胃や腸内でどれほどの効果があるかは分かりません。とはいえ駆虫効果があるものを日常的に大量に摂取している事はネパール人の健康に大いに関係ありそうだと思うのです。

  店長はかつて小樽でニシンの刺身を食べた後にアニサキスという寄生虫でひどい目にあったことがあります。もしその時一緒にネパール料理を食べていたら防げた悲劇だったのかもしれません。

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