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バネ鋼

消えゆく氷河

2020年7月1日

  いきなり重い話題ですが、ヒマラヤの氷河が消えつつあります。原因はご存じ地球温暖化です。これは世界的な問題なので店長ごときが一人で騒いだところでどうにもならんのですが、今回は店長がよく行くヒマラヤトレッキングで氷河の後退を実感したというお話です。

  昨年ヒマラヤのアンナプルナエリアをトレッキングした際に、宿から目視できる山腹に氷河の端っこが見えたのです。地図上でもほんの2kmほどしか離れていないので宿のスタッフに確認すると「道はないけど行ってこれるよ、行ってもなんにもないけどね」とのこと。何にもなくてもいいから行ってみることにしました。
 宿の窓から見える風景はこんな感じです。

氷河

  宿の近くにはその氷河から流れ出した川がそそぎ込む湖があって湖岸は盛り上がったモレーン(氷河が運んだ岩屑)でできていたので、遠い昔は氷河の端がここまで来ていたことを伺わせます。
  この湖を左に巻いて(右には行くなとスタッフに言われたので)湖にそそぎ込む川を右に見ながらざくざくのモレーンを20分ほど歩くと道はなくなり、だんだんと川原は狭くなり岩がちになってきます。
  更に進むともう岩しかありません、大は自動車から小は鞄くらいの岩からなるガレ場を飛んだり這ったりして進むことさらに2時間、ついに辿り着きました氷河の端っこへ。氷河の端はそそり立つ氷の壁でした!

氷河

氷河

  店長は氷がだんだんと溶けていって氷河の厚みが薄くなって消えていくものと思い込んでいましたが、実際は30mはある氷の壁がいきなりそびえ立ち、その下に崩れ落ちた氷の塊が10m程の幅に転がっているという構図でした。
  せっかくここまで来たのですから氷河で冷やしたビールで一杯いきたいところです。しかし、標高が富士山頂と同じくらいなので酔いが回りやすい事とアルコールが入った状態で帰り道のガレ場を歩く自身が無かったため断念しました。
  せめて氷河のかけらを持ち帰って宿でロックを飲めばよかったと後悔しています。惜しい事をしました。

氷河

  さてここまでの所要時間ですが、宿のスタッフが1時間半くらいで着くと言っていたので多分たっぷり2時間はかかるだろうと思っていたらその通りでした。
  これは地元の人の足が異常に丈夫であることもありますが、氷河が年々後退していることも一因ではないかと思います。なぜなら実際に歩いてみるとどう考えても地図上での2kmより距離があったからです。地図に記された氷河の端の位置は氷河が後退する前の物なのではないでしょうか。
  そしてこんな何もないつまらない所(地元の人にとっては)にそうそう行く事もないので、このスタッフの記憶は恐らく子供の頃のもので、ここ30年ほどで急速に後退した氷河の端っこはその当時はまだ数百m手前にあったのではないかと想像されます。
 
  ぐったり疲れて宿に戻ったらもうお昼を過ぎていました。宿のスタッフが言った通り確かに岩と氷以外なんにもありませんでしたが、氷河を知らない日本人の店長にとってとても不思議な経験した事のないような場所でした。
  きっとこの岩と氷を見たがる観光客も多いでしょう。氷河オンザロックも飲みたいに違いありません。ここはこのヒマラヤの寒村の大きな観光資源になる可能性を秘めています。
  場所はアンナプルナエリアのマナンという村近辺のガンガプルナ氷河です。

氷河

  しかし、しかし、大変残念なことにそこに辿りつく道ゆきがあまりに過酷すぎてとてもお勧めできるものではありません。川沿いに歩いて行くだけなので迷う心配はありませんが、いつどこで足をくじいても、川に落ちても、斜面を滑り落ちても不思議ではない場所の連続です。
  しかも怪我をして動けなくなった場合の連絡手段がありません。ある程度の登山の経験がある者が二人以上のパーティーを組む場合にのみ自己責任で訪問しましょう。店長も友人と二人で実行しました。
  まあ訪れる者を選ぶという点はいかにも秘境っぽくてよいとも言えますが…。

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