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バネ鋼

山村のククリ

2016年2月1日
  店長は職業柄、ヒマラヤの山奥の村で村人の家におじゃました時など機会があればその家のククリを見せてもらう事があります。そうするとそのククリがどのくらいの期間どのような使われ方をされてきたのかよく分かるのです。
  下の写真はランタン谷周辺で出会ったチベット系のおじさんが持っていたククリです。刃渡り40cmを越す立派な逸品で、全体に薄くサビがういていますがよく手入れされています。


山村のククリ1

山村のククリ2

  錆びているのに手入れがされているのか?とお思いかもしれませんが、ネパール人にとってククリは実用品であるため性能に関係ない部分は気にしていないのです。錆びてはいても刃はきちんと研いでありましたし、刃に大きな欠けもありません。また錆もごく表面的なもので深く侵食したものではありません。上々のコンディションと言えます。
 形状は典型的な山岳部の細身のククリです。当店の商品ならメラムチがこれに相当します。
 もう少し高度が下がった所の村でもククリを見せてもらいました。水力を利用した粉挽き小屋の隣の家におじゃました時のことです。ちなみに粉挽き小屋の戸口には古くなった石臼が放置されていました。変わった目立てですね。その下が動力源の水車です。


石臼1

石臼2

水車

  ここの女主人が料理をしている間にお許しをもらってククリを見せてもらいました。この家には計4本のククリがありましたがどれもかなり年季が入ったものばかりです。下が最も大きい物で刃渡り約35cm、グリップの磨り減り具合からしてこの家で一番古いか一番よく使われているものだと思われます。
  下の拡大写真からおわかりのようにグリップの下端のフチ部分や中間にあるはずの線状の突起がほとんどなくなっています。どのくらい古いのか訊ねたのですがよく分かりませんでした。とにかく自分が小さい時からあったとの事なので、半世紀は経っているのでしょう。鞘はもうなくなったそうですがブレードにもヒルトにもまだガタはきていません。あと半世紀は使えそうです。


山村のククリ3

山村のククリ4

  その下の写真は小さな小刀タイプのククリで刃渡りは20cm弱、こっちは割と新しいものです。と言っても研ぎ減りしているので10年は経っているかもしれません。

山村のククリ5

  このようにククリを見せてもらって驚くのは大部分のククリが数十年以上使われている事です。第二次大戦前のククリすら見かける事があります。日本のご家庭の包丁で七十年も使われているものが一体どれだけあるでしょうか?
  ことほどさようにククリは無類に頑丈なナイフなのです。当店のククリも余程ひどい扱いをされない限り御購入のお客様の孫の代まで十分使えるはずです。
  どうか長く使ってやって下さい。

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