呪術師
ネパールでは軽い発熱や下痢、原因不明の体の痛みなどに襲われた時にまずどうすると思いますか? 病院に行く? いえいえ最初に頼みにするのはダミ・ジャクリすなわち呪術師なんです。
国連から世界最貧国に区分されているネパールでは医療事情も日本に比べるとかなり劣ると言わざるを得ません。カトマンズのような都会では近代的な病院もたくさんありますが山間部では病院まで歩いて1日以上かかるというケースはざらです。しかも病院で診察してもらうためには現金が必要となり、現金収入が非常に少ない農村部では病院に行きたくても行けないのが実情です。
そんな中で人々の信頼を集めているのが通称ダミと呼ばれる呪術師なのです。ダミは現金以外にも米や鶏などを報酬として受け取るため診てもらいやすいのです。また医者のいない村でもダミならいます。ダミの仕事は小は夫婦喧嘩の仲裁から大は人を呪い殺すことまで多岐にわたり、村の村長より尊敬されていることも珍しくありません。
そんなダミの仕事で重要なものの一つが呪術による医療です。ダミはまず患者の病気の原因を探ります。その病気の原因がラガン(悪霊)だとなると祈祷や薬草、マッサージなどでラガンを追い出します。原因がラガンでない場合は病院に行くことを勧めることもあります。
さて治療の効果ですが、意外にも「効く」ようです。ダミは薬草の知識が豊富な上に、患者も「ダミに診てもらった」という安心感から病気が治ってしまうことが多いのではないでしょうか?ネパールには日本人の方もたくさん住んでいらっしゃいますが、このダミに診てもらったことのある人も結構いるようです。