ククリとグルカ兵
世界最強の兵士とも言われるグルカ兵はネパールの山岳民族出身の兵士です。そのあまりの強さにイギリスは傭兵部隊としてグルカ兵を採用し、現在イギリス陸軍のグルカ旅団には3000人以上のグルカ兵が従軍しています。特にその身体能力の高さから白兵戦の強さと目のよさには定評があり、闇夜でも狙撃可能だと言われています。フォークランド紛争をはじめイギリスが派兵する際には常にその前線に投入されてきました。
このグルカ兵が愛用するナイフこそククリなのです。実際ククリのマークは部隊章にも採用されており、ククリこそグルカ兵のトレードマークと言えます。
ネパール軍レンジャー部隊の本部正門にもククリがレイアウトされています。
グルカ兵がどれほど恐れられているか示すエピソードにこんなものがあります。香港では退役したグルカ兵を会社のガードマンとして雇うことがよくあります。なぜならガードマンがグルカだと知ると泥棒が寄り付かないからだそうです。
またネパール国内を走る唯一の鉄道であるジャナクプル鉄道が武装強盗に襲われた際、たまたまその車両に乗り合わせていたたった一人のグルカ兵によって総勢40名の強盗団が壊滅させられた一件は記憶に新しいです。
強盗団は剣や銃で武装していたにもかかわらず死者3名重軽傷者8名を出し、残りは逃走しました。一方グルカ兵は左腕に軽傷を負ったのみでした。そのときにグルカ兵が使用した武器はたった一本のククリだったのです。
ジャナクプル鉄道には店長も乗ったことがありますが、老朽化が激しく列車のスピードも人が走って追いつけるほどです。強盗団もさぞかし襲いやすかった事でしょう。狭軌の鉄道であるためその車内は下の写真のようにかなり狭く、ククリのような近距離白兵戦向きの武器に有利に働いたのかもしれません。それにしてもこのグルカ兵の強さは尋常ではありませんが。