ドゥリケルからパナウティへ棚田ツアー
2021年4月1日
ドゥリケルとパナウティは首都カトマンズから見てバスで東に2時間ほどの所にある町です。どちらも数百年前にネワール族が築いた街で、交易路上にあったため大変栄えましたが時代とともに交易ルートが変化し、今では観光客も訪れない静かな街になりました。
間とはどういうことか?ドゥリケルとパナウティの間には立派な車道が走っており、バスでほんの30分の距離です。しかしバスとは逆回りに未舗装の山道を歩くルートもあるのです。
そのルートの途中にはナモーブッダというネパール人にはよく知られているが外国人はほとんど訪れないというローカルメジャーな寺院や歩いても歩いてもなお続く広大な棚田があったりして、お好きな方にはたまらないお散歩ルートなのです。
まあこれがお好きな方は100人に3人いるかいないかくらいでしょうが、その選ばれた一人である店長は秋のある日思い立って歩いてみました。
どれだけ時間がかかるか分からないので余裕をもって朝5時40分にドゥリケルの宿を出ました。この時間でも外を歩くともう家や店の前を掃除している人がたくさんいるのはさすがネパール人です。
まずは丘を登って頂上のカーリー寺院に参拝してからナモーブッダにむかって歩き出しました。とはいっても初めて歩く道のうえにルート上にある集落の人達が日常使っている道なので決して一本道という訳ではなく複雑に枝分かれしています。
当然地図は買って持っていましたが地図が悪かったのか載っていない道があまりにも多くて全く役に立ちません。それらしい道を歩いていくと畑にぶつかって行き止まり、なんてことが何度もありました。
こういう時は、そう、現地の人に道をきくのが一番です。幸い集落の人が結構歩いていたので道をきくのに困ることはありませんでしたが、現地人はえてして「大きい道」や「正規の道」ではなくいつも自分が使っている「最短距離を行く道」を教える傾向があります。そのためどう見ても獣道だろ?という道を指さされた時に迷わずその方向に踏み出す強い心が必要です。
歩き始めて3時間半。そろそろナモーブッダが近いはずなのですが霧が出てきてますます道が分からなくなってきました。そんな時、霧の向こうから見慣れたものが現れました。五色にはためくこれはまさしくタルチョー(チベット仏教の祈祷旗)です。山の中で畑があれば近くに人家があるように、タルチョーがあればお寺が近くにあるしるしなのです。
ほらありました、ナモーブッダです。噂通りネパール人はたくさんいましたが外国人は一人もいません。
ここで参拝客に道をきくとやはり大きな道ではなく巨大マニ車の横から藪の中を下っていく細い道を指さされました。迷わず下った店長はお陰でわずか20分足らずで丘を降りきってシャンクー村までショートカットすることができました。
でもサンダル履きの方にはお勧めできない凄い道でした。トレッキングシューズを履いてきて良かったです。
シャンクー村はほとんど平地と言っていいほどの緩やかな斜面が広がった村で、一面の棚田でした。棚田の中に村がある、という感じです。歩いても歩いても途切れることなく棚田が続きます。店長はこんな風景を日本では見たことありません。
ちょうど実りの季節でしたので、棚田のあちこちで家族総出で稲刈りが行われていました。無論日本とは違ってコンバインなどありません。人力で刈り取り、人力で金網に稲束を叩き付けて脱穀します。歩いても歩いても続く棚田の稲を全部こうして収穫するのかと思うと気が遠くなりそうです。
日本でも昭和初期までは同じ事をやっていたとはとても信じられません。店長なら初日に腰を壊すこと間違いなしです。 小一時間ほど歩いてシャンクー村を抜けると左手に川が見えてきます。パナウティで二股に分かれるプニャマタ川です。
パナウティに着いたのはちょうど昼の12時、ドゥリケルから6時間20分かかった計算になります。途中お茶を飲んだりお寺を見学したりしたので、実質歩いていたのは6時間もないでしょう。雨は降りませんでしたが獣道を歩いたせいか露で靴がぐっしょりです。
ドゥリケルとパナウティは地図上の直線距離だと6kmしか離れていませんので随分と遠回りのお散歩になりました。しかしそれだけの価値はありました。
皆様も如何でしょうか?ちょっとお目にかかれないような風景の中をさまよい歩く体験ができますよ! ただし歩き始める前にスマホにこの辺りが詳細に載った地図を入れておくことを強くお勧めします。地図によっては山道が全然載ってないものもありますので注意が必要です。
この準備を怠ると皆様が望む以上にさまよい続ける羽目になります。
店長から一言
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