人と鳥との距離感
2021年2月1日
今回は家畜ではなく野生動物もまた人間に近い距離で生活していることを実感したお話しです。
ある日の事です。農家のおじさんが畑を耕していました。ネパールにしては珍しく耕運機を使っています。下の写真をご覧ください。
おじさんはというと鳥たちを気にすることもなく淡々と畑を耕しています。どうやらおじさんにとってはこれは珍しくもなんともないごく普通の光景らしいのです。
状況が呑み込めない店長は仮説を立てました。
①これはおじさんが飼っている鳥である
②飼ってはいないが時々餌をやっているので野鳥がなついている
③野鳥だが鳥は自分の目的があって勝手に後を付いている
鳥は卵から孵化させれば人間を親だと思ってなつくそうなので、①は十分あり得ます。しかし観察しているとおじさんは鳥たちを完全に無視しています。全く見ようともしませんし、機械に巻き込まないように気を使ったりもしません。①はなさそうです。
②はどうでしょう? これも無視しているのは変ですし、餌をやる様子もないのに鳥達は延々と後を付け回しています。②でもないようです。
更に観察を続けると鳥は耕運機が掘り起こしたばかりの地面を時々嘴で突いています。これでわかりました!鳥たちは耕運機に掘り出されたミミズや虫が再び安全な土の中に逃げ込むまでのわずかな時間を逃さずついばんでいたのです。
おじさんの事はどうでもよく、掘り起こされた直後の土が目当てだったのです。ベストな位置はもちろん耕運機の真後ろです。
現地ではおそらく誰も疑問に思わない常識レベルの当たり前の事なのだと思います(おじさんに聞きに行っていたら日本人の知的レベルが疑われた事でしょう)。しかし店長は初見なので、正解にたどり着くまでかなりの時間を要しました。 ひとたび野鳥と人間との距離が近いと気が付くと、ほかにも色々と見えてきます。例えば当店のスタッフの家の近所にある酪農家では下の写真のように早朝に牛たちが牛舎(といっても北海道の酪農風景を想像しないでください、家に付属しているただの小屋の事です)から放牧地に追い立てられます。
のんびりと放牧地へ向かう牛の背中に黒い影が! 正体はカラスで、しきりに何かをついばんでいます。サギ(?)も混じっています。
鳥が嫌なら牛は尻尾を振ったり首を振って追い払うはずなのですが、全く動じる様子がありません。どうやら牛の体についた虫を食べているようです。いわゆる共生関係ですね。
しかし前者は人間が積極的に餌やりしているのであり、後者は住環境を荒らす害鳥として迷惑な存在となっております。ネパールの例のように互いに干渉せずに利用または共生する存在としての野鳥は日本ではなかなかお目にかかれないのではないでしょうか?
店長から一言
|