お土産産業
2020年9月1日
ネパールの観光業は貴重な外貨を稼げる一大産業です。なぜ貴重なのかと言いますと、ネパールは2019年の統計では外国からの輸入額が輸出額の15倍という超貿易赤字の国ですので、政府としては外貨が喉から手が出るほど欲しいところなのです。ちなみに日本の輸出入はほぼ同額です。
店長は多くのお土産屋さんに商品を卸しているフェアトレードの工房にたまたまお邪魔する機会があったので、今回は観光と深いかかわりがあるお土産物の話をしようと思います。
ちなみにフェアトレードというのはそのまんまフェア(公正)なトレード(取引)という意味で、労働者を搾取したり過酷な労働をさせたり環境負荷が大きい作業をしていないことが証明でき、かつ会計的にも透明性の高いモノづくりをしているという意味になります。
最低賃金さえ守られていないどんぶり勘定のネパールではこれはかなりハードルが高いことです。
今回訪れたバクタプルの郊外にあるチュダマニさんの工房は工房というよりはほとんど工場に近いレベルで、従業員はおおむね女性からなります。ここで作っている商品は主に焼き物とお面の類です。下の写真から何を作っているか分かるでしょうか?
同じものを大量に作るため、まず焼き物の型に粘土を押し込みます。

型から取り出したのがこれです。壺のように見えますが...。

それをこんな窯で焼きます。

焼きあがったものに彩色するとこうなります。

な、なんと仏陀の頭でした! 胴体を作っている様子はありません、これは頭だけの置物なのです。仏像の頭だけ、それもこの色彩センス。これを買いたいと思う日本人がいるでしょうか?買ったとして家のどこに飾るのでしょうか?
仏像にはほかにもいろいろシリーズがあるようです。他人事ながらこんなに大量に作って売れるのかどうかと心配になります。

焼き物は仏像だけではありません。こんなのもあります。

焼きあがるとこんな感じ。


お面もあります。やはり独特な表情です、これはチュダマニさんのセンスなのでしょうか?

巷のお土産屋にあふれている日本人的には微妙な仏像やお面の少なくとも一部はここで生産されていることがわかりました。
ネパールを訪れる観光客は多い順にインド、中国、アメリカ、スリランカとアメリカを除けばご近所の国が多いので、日本人の感覚では微妙でも南アジア圏の感覚では優れたセンスの人気商品なのかもしれません。
店長から一言
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