ハレの日の御馳走
2019年8月1日
かなり前の店長日記でネパールの食事のスタンダードはダルバートであると書いたと思います。ダルバートはご飯に野菜料理と豆のスープがセットになった物の事で、日本で言うなら白飯+みそ汁+鮭の塩焼的な代表的な食事メニューです。このご飯+野菜+豆スープは最低限のセットであって、これにアチャールと呼ばれる漬物のような物が付いたりもします。こうした質素なダルバートが下の写真です。
これが普通の御家庭で毎日朝夕食べられている典型例だと思ってください。この写真では野菜料理はほうれん草の炒め物と生キュウリです。左側の小皿がアチャールで、本当に日本の漬物のように色々な種類があり、各家庭でバリエーションが豊富ですが大抵は非常に辛いです。ひょっとして日本のカレーの福神漬のルーツはこれなのでは?と店長は思っています。
しかしこれは観光客向けのレストランで出されるダルバートであって、ネパールの人達の御家庭ではまず食べられることはありません。値段も通常のサラリーマンの日給に相当するくらいの額ですので食べるのはやはり外国人観光客くらいのものです。
ところが、一般ネパール人がこのダルバートをはるかに上まわる御馳走を食べる時があるのです。それはズバリ伝統的なイベントがある日です。結婚式や特別な年になったら行う宗教行事の時には10品20品あたりまえの超豪華な食事が振舞われます。
下の写真などがその例で、テーブルの上には数mに渡って料理が並んでいます。女性の服が金の刺繍入りの高級サリーである事からも何らかの伝統行事であることがわかります。
国連から世界最貧国の指定を受けているネパールでは、食事も平均すると日本よりかなり質素だと言わざるをえません。しかしネパールでは普段の何でもない日とハレの日との差が激しいのです。ハレの日の御馳走は普段の食事からは考えられないほど豪華で、大人も子供も何日も前からそれを楽しみにしています。
我々の祖父母の時代には同様に正月の餅つきが待ち遠しかったり、年に一度の祭りの特別な料理が楽しみだったりしたと聞きます。しかし最近の日本の食事は中途半端に豪華になったせいか、「特別な御馳走を楽しみに待つ」事が少なくなった気がします。
食事に限らず、生活のメリハリの点ではネパールの方が現代の日本より楽しみ方がうまいと感じます。
店長から一言
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