日本と同じ店、違う店
2019年5月1日
日本にあるお店は、まあ大抵はネパールにも同種の店があります。肉屋さんや魚屋さんからファストフードやピザ屋のデリバリーまで最近はあります。ですがあくまで”同種”であってその醸し出す雰囲気は日本の物とは別物である場合も多いのです。
はい、八百屋です。伝統のある朝市などでは日本でもこんな感じで販売されていますね。地面に敷いた50cm四方の布の上に野菜を並べて地べたに直接座って販売する形式も、たまーに日本でも見かける事があります。
自転車での移動販売も40~50年前の日本では普通にありましたが、今ではちょっと珍しいですね。
さて、続いては扱っている品物は同じでも販売方法が日本とは大きく違うお店です。下の写真は肉屋です。店頭に横たわっているのは惨殺死体ではなくお店の商品です。ここまでワイルドな販売方法をとっている店は日本にはまずないでしょう。
その下の青い屋根の家は牛乳屋さんです。中に入るとミルク缶が並んでおり、お金を払うと持ってきた器に直接そそいでくれます。衛生状態は雪印や明治乳業が見たら気を失うくらいのレベルかもしれませんが、牛乳は沸かしてから飲むのが基本のネパールですからそれでいいのでしょう。
以前の店長日記でも書いたように、無殺菌の生乳は美味ですが日本ではほとんど販売されていません。ですがネパールではリスクを承知の上でならこのようなお店で日本以上に美味しい牛乳を飲むことができます。
扱っているのは銅、真鍮、青銅などで作られた水入れや食器類や装飾品や日用品などで寺院の飾りや器具類も置いています。ネパール人(特にネワール族)は昔から銅製品の加工技術に優れており、今でこそプラスチック製品やステンレスに押されていますが、ちょっと前までは重さ10kgを超える一抱えもあるような銅製の水入れが嫁入り道具として欠かせないものであり、かつ貴重な財産だったのです。
どうも銃刀法などという法律があるせいか日本では堂々と胸を張って店先に刃物を並べられない雰囲気があります。ククリに限らずこんなに派手にナイフをディスプレイしているお店は日本では非常に稀でしょう。明治9年の廃刀令から140年以上が経った現在、日本では道具としてのナイフの扱われ方は少々残念なものがあります。
無人島に流れ着いた人がナイフを持っているかいないかでその後の生存率が数倍違うという話があります。人間の生きる力を何倍にもしてくれるこんな魔法のような道具は他にはありません。ナイフは人間にとって石器時代までさかのぼる頼れる相棒なのです。
しかしながら素晴らしい道具は犯罪にも悪用されてしまいます。また包丁とククリに区別がないネパールの常識をそのまま日本に持ち込むわけにもいきません。なので日本に上の写真のようなお店が増えてほしいなどとは簡単には言えません、しかし日本でももう少しナイフの価値が見直されてもいいと思うのです。
店長から一言
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