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バネ鋼

南アジアの武器・武具 その1

2018年11月1日
  2018年に丸2週間を費やして次期新商品開発のヒントを探すために(まあ実際は半分以上店長の趣味ですが...)ネパールからインドまで南アジア圏の博物館をめぐって伝統的な武器と武具をたくさん見てきました。とても面白いものが見つかりましたので、これから何回かに分けて収集した武器の画像などを公開したいと思います。

  まずちょっと珍しいところから行きましょう。カートバンガです。これは武器としてはおそらく”石”と並んで人類の黎明期まで遡るであろう”棒”です。元々の用途は打擲棒だったようですが後に権威をあらわす形式的なものになりました。
  下はネパールの国立博物館所蔵のカートバンガです。長い方は1mほど、短い方は40~50cmです。形式的とはいえ金属製ですのでこれで殴られれば骨も砕けます。

武器

  カートバンガはシバ神の武器としても有名です。シバ神だけでなく闘神インドラやドゥルガー女神など戦いの神が持っていることが多いですね。下の写真ははドゥルガー女神の像で13世紀の物です。しっかりと棒を持っています。
  ちなみにドゥルガーはヒンドゥー教の中では戦闘に特化した非常に強力な神で、ヒンドゥーの神々が魔族に負けそうになった際に神々の力を結集して生み出されました。下の写真は腕が4本しかありませんが、本気になると18本の腕を繰り出して戦います。最終的にカートバンガで魔族達はボコボコにやられた上に三叉鉾でとどめを刺されてヒンドゥーの神々の勝利となりました。

武器

武器

  上の写真はビシュヌ神で、腕の数が多すぎてわかりづらいですが一番後ろ側の右手にカートバンガの一種を掲げています。

  続いて戦輪(チャクラム)です。現在ではほぼ戦闘で使われることはないと思われますが、独特なインパクトがある武器なのでファンタジーものなどによく出て来ます。
  チャクラムは円盤状の鋼板でできており外側が刃になっています。内側の穴に指を通して回転させて投げるか、フリスビーのようにして使うのですが手裏剣のように刺すことが目的ではなく斬ることを意図した武器です。
  下の写真は同じくネパールの国立博物館所蔵のチャクラムで直径は20cmよりちょっと大きいくらいです。本物のチャクラムを見たのは店長はこの時が初めてです。

武器

  手裏剣は直投または放物線を描いて投げることができますが、チャクラムはそれに加えて軌道を左右に大きく変化させた曲投ができるのが特徴です。フリスビーをちょっと斜めに投げると空中を滑るように曲がって飛ぶのと同じです。
  直径20cmの輪がまっすぐ飛んで来たらそれに注目している限り避けたり払ったりするのは難しくないでしょう。しかしわざとあさっての方角に投げておいて相手の注意を何か(突進するふりをするとか)に引き付けておいたらどうでしょう?視界の端からいきなりこんなものが襲ってきたら避けるのは至難です。しかも熟練者は二つのチャクラムの軌道を調節して左右同時攻撃も可能と言いますから、予備知識なしの初見の相手は引っかかるに違いありません。

  このチャクラムはビシュヌ神の武器としても有名です。下の写真はインドのデリーにある国立博物館所蔵の11世紀の青銅製のビシュヌ像です。後ろ側の左手がチャクラムを持っていることが分かります。

武器

  南アジアの武器・武具はこのように神様やそのエピソードと深く結びついているのが魅力の一つです。

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