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バネ鋼

揚げ干し

2018年5月1日
  今回はネパールの魚の保存方法の紹介です。皆さんは日本に「焼き干し」という古くから伝わる保存食がある事をご存知でしょうか? これはアジや鮎やカジカといった魚類を一度素焼きにしてからまた干したもので、ただ干した物より痛みにくくなり長く保存できるようになります。また独特の香ばしさがある事からダシを取るのに使われることもあるそうです。

  一方、ネパールは内陸国で海がないため魚は日本ほど一般的ではありませんが、それでも川や池でとれた魚が食べられています。鯉やナマズは大きな市場の魚屋さんに並んでいますし、山奥の渓流には20cmくらいのアサラというパッと見ウグイのような魚がどこにでもいます。
  魚が取れるからには保存方法もあるわけで、もちろんごく普通の干し魚も乾物屋に並んでいます。ですがネパールの低地部は夏季の気温が日本より高いため夏場は単に干しただけでは干しているそばから魚は傷みはじめてしまいます。
  暑いさなかに魚を傷ませずに保存するにはどうするか? やはり焼き干しか? いえいえ焼き干しより更に長期保存できる方法があるのです。それが「揚げ干し」です。

揚げ干し

揚げ干し

  川沿いの幹線道路にあるドライブインなどでは、店先になにやらすだれのようなものがぶら下がっていることがあります。よく見るとこのすだれは魚でできています。これが揚げ干しです。作り方は生の魚を大きなものは切り身で、小さなものは丸ごと竹の串に刺して油で揚げます。水分を飛ばしながら焦げないように揚げるのがポイントです。
  魚は傷む間もなくカラカラになり更に揚げる過程で完全殺菌されるため、あとは常温で軒先に吊るしておいてもOKなのです。海がないネパールでは塩が貴重だった時代が長く続き、塩は高価な物資でした。しかしこの方法なら塩干しとは違って一切塩を使わないで済みます。まあ現在は塩も安価に手に入りますが。

  切り身と丸ごとの小魚を一串ずつ皿に並べたものが下の写真です。切り身が赤いのは元々白身の魚だったのを何やらスパイスに付け込んでいるせいらしいです。食べてみると水分は全くと言っていいほど無くカラッカラで、たぶん強く握ると粉々に砕ける事でしょう。夏場でもここまで乾燥させれば腐りません。

揚げ干し

  このすだれを軒からはずして店の中に入り酒のつまみとして注文する事もできます。その場合はあろうことか更にもう一度油で揚げられた上にトウガラシとハーブ類が振りかけられて出てきます。もうカラカラを通り越してサクサクのスナック菓子みたいです。
  ただ妙なことが一つ。すだれの中に何故か魚の頭がご丁寧に揚げられて入っていました。この配置はどう考えても偶然ではなく意図的です。

揚げ干し

  食べるとは思えないので何かの魔除けかおまじないでしょうか? あるいは魚好きの神様のお供え物にでもするのか? 日本でも昔イワシの頭を串に刺して玄関先に飾って魔除け(イワシの頭も信心から)
にしたりしたそうですので、日常生活に呪術や神様やおまじないがてんこ盛りのネパールなら魔除け説もお供え物説も十分に考えられます。
  というのは考え過ぎで単に猫の餌用なのかもしれませんし、魚の頭の味が好きな人向けなのかもしれません。今度ネパールに出張した時にでも聞いてみます。まだまだ分からないことが多いネパールでした。

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