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バネ鋼

チベット仏教はグローバル

2017年12月1日
  以前店長日記でチベット仏教の話をしました。日本で普通に見かける仏教とはだいぶちがった仏教ではありますが、ヒンドゥー教徒が圧倒的に多いネパールでも山間部ではチベット仏教が一定の勢力と信者を保持しています。特に山奥に行けば行くほどチベット仏教色は濃くなり住民の生活に与える影響も大きくなります。
  アンナプルナ山域のナワルという村を例にとってみましょう。村の標高は3,650m、推定人口300人の静かな村です。村のメインストリートに面して大きなお堂があり中には2mを超える巨大なマニ車が納まっていて、これは1回まわすと優に100回分くらいお経をとなえるのと同じ効果がありそうです。
(ちなみにマニ車とは円筒状の容器にお経が詰め込まれたもので、これを一回廻すと中のお経を一回唱えたことになるというインチキ臭くも便利なチベット仏教の発明品です)

グローバル

  また村内を流れる小川には水力を利用して自分で勝手にまわる全自動マニ車が設置され、村人のかわりに1日24時間功徳を積んでくれます。下の写真の小屋の中に水力マニ車が設置されています。

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  この村の北西の少し高くなった場所にこの村を見おろすようにチベット仏教寺院があり、この村の年中行事や日々の生活までガッチリとこの寺が取り仕切っています。更に村のすべての家の屋根にはチベット旗がはためいていて、もう村内はチベット仏教一色です。別にナワル村が特別なのではありません。ヒマラヤの山奥ではどの村も似たりよったりなのです。日本の街や村にも寺や神社はありますが、日本ではここまで寺社が地域と一体化した町村はそうはないでしょう。下の写真がその寺です。

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  この山奥の寺を世界から孤立した一地方寺院と侮ってはいけません。驚くべき事に山村にある寺院はそのエリアを束ねる大寺院のネットワークに組み込まれており、大寺院もネパールの首都カトマンズにあるボウダナートなどの宗主寺院に組み込まれ、さらにネパール各地の宗主寺院は遠くインドの大寺院とも深いつながりを持った巨大なネットワークを形成しているのです。このネットワークは単なる形だけの姉妹都市的なものではなく各地の僧侶たちはヒマラヤの山奥から1000km以上も離れたインドの大寺院との間で人材交流を行ったりしているとてもアクティブなものなのです。
  「俗世から離れ、孤高に生きる修行僧」どころではありません。パソコンを使いこなし英語をあやつる彼らは一流企業に務めるサラリーマンのようです。
  とは言えそれは全体で見ればごく一部の高僧の話で、残りの大部分の僧侶の軸足は常に自分の故郷の山奥の村にあります。ごく特別な機会で地元を離れる以外は彼らは地域の要でありかつ質素で静かな学究の徒なのです。

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