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バネ鋼

伝説の薬草サンジーバニー・ブーティ

2017年7月1日
  ちょうど乾期が終わって雨季が始まろうとしていた季節にエベレスト山域を歩いていた時の事です。ケンジャという村を過ぎて500mほど登ったあたりでなんだか見たことのある木を見つけました。紫色の実といい葉のかんじといい間違いありません。これはハスカップです。

薬草

薬草

  日本の本州では高山にしか生えませんが、店長の地元北海道では平地でも見かける木です。ハスカップの特徴は何といっても紫色の実にあります。甘酸っぱくておいしい実はキレイな紫色のジャムになってお菓子やお土産になるだけではなく薬理作用があり、かつてアイヌの人々はこれを不老長寿の秘薬としていたと言います。それがこのヒマラヤ山中にも自生しているとは!ひょっとして旅人が通る道沿いに生えていたのは偶然ではなく、旅人の疲れを癒す目的でわざと植えられたのかもしれません。
  ハスカップだけではありません。ヒマラヤには数多くのハーブや薬草の類が自生し、その多くがヒマラヤにしかない固有種です。当店のホームページでも紹介している呪術師ダミジャグリが使う薬も原料はヒマラヤの薬草だったりします。ヒマラヤは薬草の宝庫なのです。

  皆さん、ヒマラヤに数ある薬草の頂点に立つ薬草中の薬草、薬草の王様は何だと思いますか? それはサンジーバニー・ブーティーです。
サンジーバニー・ブーティーはインド・ネパールに伝わる伝統医学アーユルヴェーダや以前に店長日記でお話ししたラーマーヤナでもとり上げられている伝説の薬草です。
  それが現在のどの植物に相当するのか、いやそれどころかそもそも実在するのかすら分かっていないサンジーバニーの効用は驚くべきものです。どのくらい凄いのかというと、ラーマーヤナには下記のように記述されています。
  ラーマーヤナは南アジア一帯に伝わる古代叙事詩です。人の姿に身をやつした維持神ヴィシュヌの生まれ変わりであるラーマが主人公であり、ラーマには弟がいます。
  弟の名はラクシュマナといって二人はとても仲が良いのです。何しろラクシュマナの奥さんはラーマの奥さんであるシータ王女の妹なくらいですから。
  さて、そのラクシュマナが敵の大ボスである
羅刹王ラーヴァナの矢に倒れ、瀕死の状態になった時にこのサンジーバニーが活躍します。
  死にかけた弟を見てラーマが「奥さんなんて探せばどこでも見つかるし、友人なんかどこでもできるが弟はどこで見つかるというのか」と、そもそも奥さんのシータを羅刹王ラーヴァナから取り戻すために戦っているというのにとんでもないことを言い出すほどに取り乱します。ここでラーマ一行の中の医者がヒマラヤの山奥のとある山の山頂にだけ生えるサンジーバニーならラクシュマナを治せると気付き、一行の中で最速を誇る風の神の子ハヌマーンに採りに行かせます。
  下の写真が国立博物館にあったハヌマーンの写真です。

薬草

  ところが足は早いが頭は少々残念なハヌマーンは山についたはいいがどの草がサンジーバニーなのか分かりません(出発する前にちゃんと聞いとけや!)。
  聞きに戻っているうちにラクシュマナは死んでしまうかもしれません、どうするか? そこでハヌマーンはこの問題を力技で解決する事にしました。なんと山頂部分を山ごともぎ取ってかついで帰って来たのです。かくしてラクシュマナの命は助かりました。死にかけた人間をよみがえらせるほどの効果がこのサンジーバニーにはあるのです。
  この話はあくまで伝説であると店長は思っていました。しかし最近ネットで面白いニュースを見つけました。なんとインドのウッタカランド州政府がサンジーバニー調査隊をヒマラヤに派遣するというのです。
  冗談ではありません、彼らは本気です。正直こんな凄い薬があるとは思えませんが、中国の伝統的な薬草の中から抗マラリア薬が発見されているくらいですから、絶対にないとも言い切れませんし、万が一にも発見されれば世紀の大発見です。
  ハヌマーンの蛮行によって全滅していなければ、サンジーバニーは今でもヒマラヤのどこかでひっそりと咲いているのかもしれません。

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