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バネ鋼

トゥテンチェリン・ゴンパへ その1

2018年3月1日
  ネパールには国立公園がいくつかあり、エベレストを含むヒマラヤ山脈の一部も広大なサガルマータ国立公園となっています。そしてサガルマータ国立公園内の主要なトレッキングルートからはずれた奥地には巨大な僧院(ゴンパ)があると言います。今回の目的地はこのトゥテンチェリン・ゴンパです。

  バクタプル在住の当店のスタッフの話によると一番近いバス停から歩いて三日もかかるうえに行っても何にも無いからやめておけと言われました。そういう所に興味があるのだと答えるとやれやれという顔をされました。
  そうなのです、観光地でも何でもないただの山奥に好んで行きたがる人間はネパールでは良くて物好き、悪く言えば変人扱いなのです。
  仕事としてトレッキングのガイドや荷物持ちをするネパール人は多いのです。しかし仕事抜きで好んで山に登るネパール人には会ったことがありません(まあ中にはいるのでしょうが)。店長的にはすぐそこにヒマラヤがあったら登らずにはいられないのですが、東京に住んでいる人が東京タワーやスカイツリーに登らないのと同じ感覚でしょうか。

  さて、カトマンズを朝6時に出るバスは店長の拠点であるバクタプルに6:55に到着し、そこからサガルマータ国立公園にほど近いジリという町に向かいました。
  しかし同乗の人の話を聞くとこのバスはさらにその先のバンダルという村にまで行くというではありませんか。大ラッキーです、終点まで座っているだけで歩く行程を1日短縮できます。
  ですが乾季も終わって雨季に入ろうかというこの時期のヒマラヤの車道をナメてはいけなかったのです。

ゴンパ

ゴンパ

  バンダルのはるか手前で道路はがけ崩れのため工事中となり、バスは山の中で止まってしまいました。どうするのか?
  どうもしません。そうです、このバスはここで終点となったのです。乗客達は文句を言うでもなくバスを降り、平然と様々な方向に歩き出しました。右も左もわからない店長がバスの添乗員に説明を求めると、漠然と前方やや右の森を指さしてバンダルはすぐそこだと言います。確かに乗客のうち何人かはそちらの方向に向かって歩いて行きます。もう日は沈みかけて夕闇がせまっている時刻です。今あの乗客たちについていかなければヒマラヤ山中で行き場をなくしてしまうでしょう。
  急いでザックをひっつかんで最後尾に続きました。さすがに地元の人らしく躊躇なく獣道や車道をショートカットする道を進みます。しかも道と言うのもはばかられる不整地でもう足元が暗くて見えないというのにすごいスピードなのです。ここではぐれたら完全に迷子です。
  全力で歩くこと45分、真っ暗になったころようやくバンダルに着きました。何がすぐそこだ! いや、村人の感覚ではこれですぐそこなのです。

  そこから翌日、翌々日と歩き続け、ヤクが群れる3700m地点を抜けて一気に1000m下ったところで3日目の午後にようやくトゥテンチェリン・ゴンパからほど近いジュンベシ村に着いたのでした。
  下の写真は途中で見かけたヤクです。ヤクは高地に住む牛の仲間で、4000m以上でも平気ですが低地だと逆に生きていけません。その下はジュンベシの手前の崖に彫り込んであるサンスクリット文字で、一文字一文字が人間の背たけより大きいのです。

ヤク

ヤク

岩絵

岩絵

  標高2700mのここジュンベシからさらに先のタクシンドゥに進むルートは2つあります。一つは4000m級の峠を越えて2日がかりでタクシンドゥに抜けるコース。もう一つはほとんどアップダウンの無い、1日でタクシンドゥに着くコースです。
  当然トレッカーが歩くのは後者のコースで、前者は高山病の危険もありロッジ等もないため、それこそよほどの物好きでない限り歩きません。
  トゥテンチェリン・ゴンパはこの前者のコース上にある世間から隔絶された僧院なのです。
  次回はこの僧院と、偶然にも知ることとなったその内部を御紹介します。

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